セックスができない理由とは?

「子どもは、男女の共同作業で授かるものです」と言ったら、何を今さら、と思われるでしょう。

では、「頑張っても、なかなか子宝に恵まれない原因は?」と聞いたらいかがでしようか。

「共同作業」であるにもかかわらず、女性の側に何らかの問題があるのではないか、と考える人が、特に男性には多いのです。

でも、現実には、そんなことはありません。

不妊の原因の半分はやっぱり男性なのです。

「男性不妊症」の最たるものは、無精子症、乏精子症といわれるものです。

精液の中に精子がまったくいなかったり、その数が極端に少なかったりする状態ですね。

その場合は、原因によって治療の方針は変わりますが、ホルモンの異常がある場合はホルモン投与にて精子ができる場合もありますし、精索静脈癌という状態のように手術をすることで精液検査の所見が改善して妊娠しやすくなる、といったこともあります。

ライフスタイルの改善も、妊娠しやすくしていく活動の第一歩です。

あるいは体外受精、顕微受精といった生殖補助医療によって、妊娠を促す場合もあります。

男性側の不妊要因

一方で、世の中には精子や卵子には異常が認められなくても、子どもを作るための行為=セックスがうまくできないために、パートナーを妊娠させられない男性がいるのです。

不妊症治療を掲げる私のところには、そうした悩みを抱えたカップルや単独の男性が、引きも切らずにいらっしゃいます。

この、男性側の要因でセックスがうまくできない原因、パターンには、大きく分類して三つあります。

(一)未完成婚…夫婦なのに、結婚以来一度もセックスに「成功」したことがない、というケース。

(二)勃起障害…よく耳にするようになったEDですね。
ペニスが硬くならないから、女性の陸に挿入することができない。

今までは普通にできていたのに、さて子作りしようかという段になったら突然EDになってしまった、などということも、けっこうよく起こります。

(三) 射精障害…いろいろなケースがあるのですが、例えば、オナニー(マスターベーション) はできて射精はする。
勃起できるから、膣への挿入もOK。ところが射精に至らない―といったようなパターンです。

未完成婚って?

(一)の未完成婚については、その言葉自体を初めて聞いた、という人もいるかもしれません。

「結婚がいまだ完成していない状態」ということで、言葉自体はロマンチックにも思われますが、事態は深刻です。

つまり、結婚をしたあとでもセックスが一度もできていない、という状態のことです。

普通にセックスができる人には理解ができないかもしれません。

未完成婚には、実に様々な原因があります。

例えば、次のような症例。

夫は三五歳会社員、妻二三歳主婦。

恋愛結婚したものの一年半経ってもセックスがうまくいかない。

二人とも婚前にセックスの経験はなく、童貞と処女のまま結婚(きょうび貴重な存在ですが…)。

時々試みるものの、やはり満足な結合に至らず、悩んだ末に不妊外来を受診したのでした。

夫に話を聞くと、妻に内緒で行っているオナニーでは、立派に射精できるのだそう。

ただ、結婚初夜まで、セックスとは具体的にどのようなことをするのか分かっておらず、女性性器(膣や子宮)についての知識もほとんどまったくありませんでした。

誰からも、どこからも「学んだ」ことがなかったのです。

実は、こんなカップルは少なくありません

男性側に行われる性教育はほとんどない自治体もあり、セックス自体をどうすればよいか分からないという状態なのです。

セックスが好きという人にはにわかに信じがたい話ですが、いろんな事情や背景があって、上手に交わることのできないカップルがいます。