酒に飲まれちゃセックスできない

大量のアルコールを毎日飲み続けていると男性ホルモンによくない影響を及ぼし、精子の数が減る…というような、アルコール摂取と精子形成障害の関連を明確に示す論文は今のところない。

また、アルコールの消費量と勃起の能力には、大規模メタアナリシス(複数の臨床試験のデータを集計・統合し、分析すること)で因果関係は認められていない。

むしろ、「中等度のアルコール(5~30g/日)はEDを減らす」と結論されている。

ちなみに、公益社団法人アルコール健康医学協会によれば、アルコール摂取量の基準とされるお酒の1単位とは、純アルコールに換算して20gのことで、ビールは中瓶1本(500ml)、日本酒は1合(180ml)、ウイスキーはダブル1杯(60ml)、焼酎0.6合(約110ml)が目安になる。

何ごとも適量が大事ということだ。

アルコールに関して最も問題なのは、酔っぱらってセックスができなくなることだ。

記憶がなくなるほど飲んだのでは、セックスどころではないだろう。

たまのことならパートナーも大目に見てくれるだろうが、そんな毎日を続けていたら、やがてパートナーに愛想を尽かされてしまい、もはや子づくりどころではなくなってしまう。

飲酒が悪いわけではない。

楽しく飲んで、ふたりのムードが盛り上がって、そのままベッドイン…となれば、それに越したことはないのだが。

禁欲生活が精子を劣化させる?

「禁欲したほうが、精子がたまって数が増える」あなたはそんなふうに思っていないだろうか?

また、産婦人科でタイミング指導を受けたことのある人は、「排卵日の前は、3~5日間の禁欲を」などと言われ、セックスはもちろん、マスターベーションを控えた経験があるのでは?

これはいまだ根強い、大きな誤解である

この説はむしろ逆で、「禁欲は精子の質を下げる」のだ。

そもそも「射精すると精子が減る」というのも、「禁欲で精子がたまる」というのも正しくはない。

なぜなら、精子は常につくられているし、同時に死んでいくからだ。

ここで精子がつくられる過程を簡単に説明しよう。

精巣の中では、精子の元になる精祖細胞が細胞分裂を繰り返し、74日間かけて精子として送り出している。

射精しない「禁欲期間」を設ければ、精子はたまっていくので、たしかに数は増える。

しかし、射精しなければ、つくられてから時聞が経った「古い精子」の数も増える。

これらはやがて死滅して動かなくなる。

動かないということは、精液中に「運動していない精子」の数が増えるということ。それが精液全体に占める割合が多くなれば、精液全体の質が下がってしまう。

このときに精液検査をすると、「精子の運動率が低い」と診断されるだろう。

しかも禁欲すると、精子のDNAの損傷率(断片化率)が高くなる傾向もある。

また、精子の通り道である精路のうちで精巣上体(副畢丸)の通過に時間がかかると、精子のDNAの断片化率(形態や動きでは判断できないが、遺伝情報であるDNAの一部が切れている精子の割合を示すもの) が上昇することもわかっている。

精子の質がとくに問われるのは、不妊治療においてもしかり。

顕微授精といって顕微鏡を使って精子を直接卵子に注入して授精させる治療法である。

顕微授精では理論上、卵子ひとつに精子ひとつが必要なわけだが、その精子のDNAが断片化した割合が増えると、妊娠しても流産の危険性が高くなるのだ。

残念ながら、精子の質は精子の濃度や運動性を調べる一般的な精液検査ではわからないのだ。

精子の数は大事だが、質はもっと大事である。

たまったものは出したほうがいい。禁欲せずとも1~2日空ければ十分なのである。